平成28年度の個人住民税の主な変更点について
平成28年度から適用される個人住民税の税制改正について説明します。
住宅借入金等特別控除の適用期限が延長されました
平成27年度から適用の改正により、平成29年12月31日までの適用期限とされている住宅ローン控除等の措置について、消費税10%への引き上げ時期の変更に伴い、その適用期限を1年6カ月延長し、平成31年6月30日までとします。
ふるさと寄附金(ふるさと納税)特例控除額の控除限度額の変更
平成27年中に行ったふるさと寄附金(ふるさと納税)については、特例控除額の上限が個人住民税所得割(調整控除適用後)の1割から2割に引き上げられました。
また、平成27年分以後の所得税について最高税率が引き上げられたことに伴い、平成28年度以後の寄付金税額控除に係る特例控除額の算定に用いる所得税の限界税率が、課税所得4,000万円超の場合は45%となります。
ふるさと納税ワンストップ特例制度の導入
平成27年4月1日以後に行ったふるさと納税については、確定申告をする必要のない給与所得者・年金所得者等において「ふるさと納税ワンストップ特例」の適用を受けることができます。この場合、個人住民税から所得税控除分相当額が併せて控除されます。
(1)特例制度の利用可能対象者
- ふるさと納税の寄付金控除を受ける以外に、所得税の確定申告や住民税の申告を提出する必要のない方
- 平成27年4月1日から12月31日にふるさと納税を行った自治体の数が5団体以下である方
※平成27年4月1日以後に行うふるさと納税が対象となるため、平成27年1月1日から3月31日までにふるさと納税を行っている場合は、この特例制度の対象外となります。所得税の確定申告を行ってください。
(2)特例制度に係る申請の手続き
ふるさと納税寄附先の自治体に「寄附金税額特例控除等に係る申告特例申請書」を提出します。
※同じ団体に複数回寄附した場合、団体の数は1となりますが、寄附するごとに申請書を提出しなければなりません。また、「寄附金税額特例控除等に係る申告特例申請書」に記載した事項(住所・氏名等)に変更があった場合、平成28年1月10日までに「寄附金税額特例控除等に係る申告特例申請事項変更届出書」を各寄附先自治体に提出していなければなりません。
(3)特例制度が適用無効となる場合
次に該当する場合は、申告特例申請書等の提出を行っていても無効となり、特例制度の適用を受けることができません。
- 所得税の確定申告(還付申告を含む)または住民税の申告を行った場合
※一度「ふるさと納税ワンストップ特例」が適用されても、後日確定申告や住民税の申告を行った場合は、遡って適用無効となります。 - ふるさと納税の寄附先自治体が6団体以上の場合
- 申告特例申請書(変更届書を含む)に誤りがあり、賦課期日現在の住所地等、課税権を有する自治体に申告特例通知書が送付されなかった場合
(4)特例制度が適用無効となった場合の手続き
上記(3)に該当した場合、特例制度の適用がないため、ふるさと納税に係る寄附金税額控除の適用がされません。寄附した領収書や寄附金受領証明書を用いて、改めて確定申告または住民税の申告を行うことで寄附金税額控除の適用を受けることができます。
(5)特例制度による控除額
特例制度の適用による寄附金税額控除については、所得税からの控除は発生せず、所得税の控除相当額を「申告特例控除額」として、住民税の控除額(基本控除+特例控除)に加算した寄附金税額控除となります。
※申告特例控除額の計算方法
特例控除額×下記表の割合×(都民税2/5、特別区民税3/5)=申告特例控除額
課税総所得額―人的控除差調整額 |
割合 |
---|---|
~1,950,000円 |
84.895分の5.105 |
1,950,001円~3,300,000円 |
79.79分の10.21 |
3,300,001円~6,950,000円 |
69.58分の20.42 |
6,950,001円~9,000,000円 |
66.517分の23.483 |
9,000,001円~ |
56.307分の33.693 |
公的年金からの特別徴収制度の見直し
(1)仮特別徴収税額の算出方法の見直し(仮特別徴収税額の平準化)
平成25年度税制改正で、年間の徴収税額の平準化を図るため、仮特別徴収税額を「前年度の公的年金等に係る年税額の2分の1に相当する額とする」こととされました。
なお、適用時期は平成28年10月1日以降に実施する特別徴収からの実施予定です。
※本改正については、仮特別徴収税額の算出方法の見直しを行うものであり、新たな税の負担が発生するものではありません。
継続者 | 仮徴収 | 本徴収 | ||||
4月 | 6月 | 8月 | 10月 | 12月 | 翌年2月 | |
現行 | 前年度の本徴収額÷3 前年2月と同額 |
(年税額―仮徴収税額)÷3 | ||||
改正 | (前年度分の年税額÷2)÷3 | (年税額―仮徴収税額)÷3 |
新規 | 普通徴収 | 特別徴収 | ||||
― | 6月 | 8月 | 10月 | 12月 | 翌年2月 | |
税額 | 年税額の4分の1ずつ | 年税額の6分の1ずつ | ||||
特別徴収税額の算定例
年度 | 年税額 | 現行 | 改正後 | ||
---|---|---|---|---|---|
仮徴収額 | 本徴収額 | 仮徴収額 | 本徴収額 | ||
(4、6、8月) | (10、12、2月) | (4、6、8月) | (10、12、2月) | ||
N | 60,000円 | 10,000円 | 10,000円 | 10,000円 | 10,000円 |
N+1 | 36,000円 | 10,000円 | 2,000円 | 10,000円 | 2,000円 |
N+2 | 60,000円 | 2,000円 | 18,000円 | 6,000円 | 14,000円 |
N+3 | 60,000円 | 18000円 | 2,000円 | 10,000円 | 10,000円 |
現行制度では前年2月と同じ額になるため、一度仮徴収額と本徴収額に差が生じると、その差が解消しませんが、改正後では年税額が2年連続で同額の場合は、平準化します。
(2)転出・税額変更があった場合の特別徴収継続の見直し
(1)葛飾区外への転出時の特別徴収の継続
特別徴収対象年金所得者が葛飾区外に転出した場合、転出した年度の特別徴収(本徴収・仮徴収)を継続し、転出した期間に応じ、翌年度の本徴収又は仮徴収を停止することとなりました。
【現行】特別徴収対象年金所得者が葛飾区外へ転出した場合、年金保険者に通知し特別徴収を停止。
【改正後】特別徴収対象年金所得者が葛飾区外へ転出した場合においても、転出した日の属する年度中の特別徴収を継続。
例1)1月1日から3月31日までに転出した場合、転出した年度の本徴収及び翌年度の仮徴収を継続し、翌年度の本徴収を停止
例2)4月1日から9月30日までに転出した場合、転出した年度の仮徴収及び本徴収を継続し、翌年度の仮徴収を停止
例3)10月1日から12月31日までに転出した場合、転出した年度の本徴収を継続し、翌年度の仮徴収を停止
(2)特別徴収税額の変更があった場合の特別徴収の継続
市町村が年金保険者(日本年金機構など)に対して特別徴収税額の通知をした後に、特別徴収税額に変更があった場合においては、12月分と2月分の本徴収に限り、変更後の特別徴収税額によって継続することとなりました。
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