線状降水帯による内水氾濫(ないすいはんらん)発生時の対応
近年、線状降水帯による大雨によって毎年のように甚大な被害がもたらされており、多くの人的被害が発生しております。もし、葛飾区内で線状降水帯が発生し、内水氾濫が発生した場合、どのような避難行動が必要かなどを説明します。
1 線状降水帯とは
(1)線状降水帯の発生プロセス
線状降水帯とは次々と発生した積乱雲が多く連なり、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過・停滞することで作り出される帯状の雲のことで、幅は20km~50km程度、長さは50kmから300km程度にわたって続くことがあります。もし、葛飾区付近で線状降水帯が発生した場合は、区内全域が覆われる可能性があります。
(2)線状降水帯による被害
近年の線状降水帯による大雨被害では、平成26年8月豪雨(広島市の土砂災害)、平成27年9月関東・東北豪雨(鬼怒川決壊・常総市浸水)、平成29年7月九州北部豪雨(福岡県朝倉市などで複数河川氾濫と土砂災害)、平成30年7月西日本豪雨(倉敷市真備町などで河川氾濫による浸水被害と土砂災害)、令和2年7月豪雨(熊本県球磨川決壊・複数河川氾濫と土砂災害)などが挙げられます。
また、令和5年6月1日から3日にかけて、梅雨前線及び台風第2号によって西日本から東日本の太平洋側を中心に線状降水帯が発生し、大雨となりました。葛飾区も線状降水帯の発生エリアには含まれませんでしたが、中川や綾瀬川上流部の大雨により、中川や綾瀬川の水位上昇が観測されました。
(3)線状降水帯の気象情報について
線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけ
線状降水帯による大雨の可能性がある程度高いことが予想された場合に、半日程度前から、気象庁から発表される気象情報において、「線状降水帯」というキーワードを使って呼びかけられます。この呼びかけだけで避難行動をとるのではなく、ほかの大雨に関する情報と合わせてご検討ください。
顕著な大雨に関する気象情報
顕著な大雨に関する気象情報とは、現在、10分先、20分先、30分先のいずれかにおいて大雨による災害発生の危険度が急激に高まっている中で、気象庁が線状降水帯により非常に激しい雨が同じ場所で実際に降り続いている状況を「線状降水帯」というキーワードを使って解説する情報です。
特に内水氾濫の危険性がありますので、平屋にお住まいの方や建物の1階にお住いの方、アンダーパスなど危険な場所にいる方(洪水浸水想定区域図の浸水深が深い場所など、災害が想定される区域にいる方)は、区が開設する一時滞在施設などの少しでも浸水しにくい高い場所に移動するなど、身の安全を確保してください。
2 内水氾濫(ないすいはんらん)とは
(1)内水氾濫の発生プロセス
内水氾濫とは、下水道等の排水施設の能力を超えた雨が降った時や雨水の排水先の河川の水位が高くなった時に、雨水が排水できなくなり、下水道や水路、マンホール等から雨水があふれだし、道路や住宅が浸水する現象です。
現在、区内の排水設備は1時間あたり50mm程度の雨を処理できるものですが、50mm以上の雨が数時間続けて降る場合に内水氾濫が発生する可能性があります。また、排水溝が落ち葉やゴミなどで詰まっている場合なども十分な排水ができない可能性があります。区内下水道の概成整備が完了した平成7年以降、大きな内水氾濫は発生しておりません。
(2)内水氾濫マップ
葛飾区内全域で平成12年9月の東海豪雨相当(総雨量589mm、時間最大雨量114mm)の大雨が降った場合を想定した内水氾濫マップです。本マップは、葛飾区水害ハザードマップ解説編に掲載されているものと同一のものであり、葛飾区は水防法上での内水氾濫の洪水浸水想定区域図を作成する対象地域ではないため、水防法に基づく内水氾濫マップではありません。
(3)内水氾濫の恐れがある場合の避難行動フロー
線状降水帯などにより葛飾区内に大雨が予想されている場合は、内水氾濫の発生に注意が必要となります。この場合、自宅の浸水リスクを確認し、平屋にお住いの方やマンションの1階にお住いの方などは、親せき宅等や一時滞在施設へ避難してください。
(4)区が開設する一時滞在施設
区は、線状降水帯の発生の可能性があり、大雨警報(浸水害)が発表された場合などの内水氾濫の危険性が高まった際、マンションの1階や平屋にお住いの方、自宅での在宅避難に不安がある方を対象に一時滞在施設を開設いたします。
一時滞在施設はあくまで内水氾濫の発生可能性がある場合に、数時間滞在するために開設する施設となりますので、避難生活を行う避難所とは異なり、食料や生活用品などの備蓄はありませんので、ご自身で持って行くことが必要です。また、河川の洪水が予測される場合には、浸水しない地域の避難所を開設する場合がありますので、一時滞在施設から二次避難を行う可能性があることもご承知おきください。
3 区からの情報発信と区民の行動について
(1)内水氾濫の恐れがある場合の情報発信と行動
区では気象庁から発表される気象情報を基に区民の皆様へ情報発信を行いますので、日ごろから情報収集の方法を確認したり、避難の準備を行うことで、大雨災害に備えましょう。
情報発信の時期 | 発信される情報 | 区民の避難行動 |
---|---|---|
大雨の半日程度前 |
線状降水帯の発生可能性が高いことの呼びかけ(気象庁) ↓ 今後、区から発表される情報に注意するよう呼びかけ(区) |
それぞれの避難方法や自宅の備蓄品・非常用持ち出し袋を確認するとともに、今後の気象情報に注意する。 可能であれば、自宅周囲の排水溝の掃除などを行う。 |
大雨の数時間前 |
大雨警報(浸水害)(気象庁) ↓ 垂直避難の呼びかけ(区) 一時滞在施設開設情報(区) |
自宅の浸水リスクが想定され、マンションの1階や平屋にお住まいの場合は、浸水しない地域や浸水しない床への縁故避難を行う。 縁故避難が難しい場合は、区が開設する一時滞在施設への避難を検討する。 |
線状降水帯発生の30分前から発生している最中 |
顕著な大雨に関する気象情報(気象庁) ↓ 垂直避難の強い呼びかけ(区) |
直ちに建物の2階以上へ避難するなど、少しでも高い場所へ避難し、自身の安全確保を優先する。 |
河川の水位が上昇している場合 (大雨が降った数時間後) |
指定河川洪水予報(氾濫警戒情報や氾濫危険情報等)(気象庁・河川事務所) ↓ 浸水しない地域への避難の呼びかけ(区) |
水位が上がっている河川の情報を確認し、浸水リスクのある地域に居住している場合は、浸水しない地域の避難施設等へ移動を行う。 |
なお、中心気圧が930hPa以下の台風が東京地方に接近している場合や、荒川流域平均雨量の予測が400mmを超える場合など、これまでに経験したことのないような大規模な水害が想定される場合は、広域避難対応となりますので、上記の避難行動とは異なる対応となります。詳しくは、以下のページをご確認ください。
(2)在宅避難
内水氾濫の場合は、原則在宅避難となります。在宅避難については、以下の「在宅避難ガイド(水害版)」を参考に、判断基準や事前の備えを確認してください。
(3)災害情報の収集について
区から発信される情報の収集方法について、確認しておきましょう!
このページに関するお問い合わせ
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