葛飾区災害対策条例について
葛飾区では、平成15年に「葛飾区災害対策条例」を定めました。
制定の趣旨
東京都では、平成13年4月に東京都震災予防条例を全面改正し、新たに東京都震災対策条例を制定しました。この条例改正に伴い、旧条例にあった区市町村の基本的責務、防災意識の高揚、災害応急体制の整備及び避難誘導方法の確立等が、地方分権一括法制定の趣旨を踏まえ、新条例から削除されました。このため、都条例から削除された基礎的自治体としての責務規定を改めて制定する必要が生じました。
また、平成14年の9月に内閣府が実施した「防災に関する世論調査」の結果において、阪神淡路大震災の教訓が時の経過とともに風化し、防災意識が低下していることが現れており、区民の防災意識を高揚し、防災行動力の向上が求められています。
このようなことから、本区では、災害時に区民の安全を守るため、基礎的自治体として区の災害対策の基本姿勢を明確にし、重点施策を明らかにする基本条例を定めることにより、災害対策の充実及び強化を図ることとしました。
条例の概要
葛飾区災害対策条例は葛飾区例規集をご覧ください。
(1) 目的(第1条関係)
災害対策に関する基本理念及び基本的な事項を定め、また区民、事業者、葛飾区のそれぞれの責務を明らかにして、必要な体制を確立することにより、災害対策を総合的、計画的に推進し、もって区民の生命、身体及び財産を災害から保護する。
(2) 定義(第2条関係)
- 災害とは、地震、洪水等の異常な自然現象や大規模な火事や爆発などその及ぼす被害の程度においてこれらに類する原因により生ずる被害と定義したもの。
- 防災とは、災害の未然防止や被害の拡大防止及び災害の復旧を図ることと定義したもの。
- 事業者とは、区内に事務所、事業所を有する者あるいはマンションその他の施設管理者をいうと定義したもの
- 防災市民組織とは、地域の連帯意識に基づき自主的に結成した防災のための組織と定義づけたもの。
- 防災関係機関とは、東京都、警視庁、東京消防庁その他災害対策基本法に定める災害対策を実施する機関と定義したもの。
(3) 基本理念(第3条関係)
条例の基本理念を示したもので、災害対策は、自助、共助の理念を持つ区民と、公助の役割を果たす区とが連携を図ることを基本として行うこととするもの。
(4) 区長、区民、事業者の役割
- 区長の責務(第4条関係)
区長の基本的責務を定めたもので、区民の生命、身体及び財産を災害から保護し、安全を確保するとともに、被災後の区民の生活の安定や復興を図るために最大の努力を払うこととしたもの。また、この区長の責務を遂行するため、地域防災計画の定めるところにより、災害対策を策定し、推進するものとし、地域防災計画の実施にあたっては、国や都等と連絡調整を行い、区民等との連携、協力に努めることとするもの。 - 区民の責務(第5条関係)
区民は、第1に自己や家族の安全の確保に努めるとともに、相互に連携、協力し、すべての区民の安全確保に努めることとしたもの。第2に、火災の予防や初期消火のための器具の準備など、自ら災害に備えるための手段を講ずるよう努めることとしたもの。第3に、区や防災関係機関が実施する防災訓練等に自発的に参加し、防災行動力の向上に努めることとするもの。 - 事業者の責務(第6条関係)
事業者は、地域社会の一員として、区や防災関係機関が実施する災害対策に関する事業に協力をするとともに、災害を防止するため、最大の努力を払うものとしたこと。 また、来所する者や従業者及び周辺住民並びにその管理する施設や設備について、安全の確保に努めることとしたもの。さらに、災害を最小限にとどめるため、周辺住民と災害対策に関する活動を行うとともに、連携、協力に努めることとするもの。
(5) 災害対策に関する組織
- 葛飾区防災会議(第7条~第12条)
- 葛飾区災害対策本部(第13条~第16条)
本条例が、区の災害対策の基本条例となることから、既存の2条例(葛飾区防災会議条例及び葛飾区災害対策本部条例)を付則で廃止し、所要の改正を加え一本化したもの。
(6) 災害予防対策
- 防災都市づくりの推進(第17条関係)
災害から被害の拡大を防ぐため、建築物や都市施設の耐震性、耐火性を確保し、道路、橋梁の整備その他都市構造の改善を推進することとするもの。 - 情報連絡体制の整備(第18条関係)
災害に関する情報について、的確な収集方法や正確な提供方法及び連絡の体制を整備することとするもの。 - 避難体制の整備(第19条関係)
区民が安全に避難し、また区民の生活を救援するため、一時集合場所、避難場所、避難所等の避難体制を整備することとするもの。 - 防災知識の普及等(第20条関係)
区民の防災知識の向上や防災意識の高揚を図るため、防災に関する知識の普及及び情報提供を積極的に推進することとするもの。 - 防災教育(第21条関係)
次代を担う子どもたちに対して学校教育等を通じて防災教育の充実に努めるとともに、区民等が行う防災教育に対し、支援、協力を行うこととするもの。 - 防災市民組織の活動(第22条関係)
防災市民組織は、活動に必要とする資器材を準備するとともに、平常時においては、定期的に訓練を実施し、技術の習得や技術の向上に努めるものとし、災害時には、区、防災関係機関と協力して、避難誘導等の活動を行うものとするもの。 - 防災市民組織の育成(第23条関係)
防災市民組織の活動を促進するため、研修の実施や支援、協力を行い、地域における防災のリーダーの育成に努めることとした。また防災市民組織等が相互に連携し、補完し合う効果的な活動を行うためのネットワークづくりに必要な施策を講じることとするもの。 - ボランティアへの支援(第24条関係)
ボランティアの円滑な支援活動を確保するため、活動拠点の提供など必要な支援を行うものとしたこと。また、都と連携し、ボランティアの育成に努めるものとするもの。 - 防災訓練の実施(第25条関係)
都、防災関係機関と連携し、積極的に防災訓練を実施しなければならないと規定したもの。また訓練参加者に事故があった場合の補償規定を定めるもの。 - 災害時要支援者に対する施策(第26条関係)
災害時において、適切な行動や必要な情報の入手が困難な高齢者、障害者、外国人など支援を要する者に対して、区民や防災市民組織等の協力を得ながら、安全の確保に配慮した、災害対策を講じることとするもの。
(7) 災害応急対策
- 応急体制の整備(第27条関係)
災害時に、避難、救援活動を円滑に行うため、必要な体制の確立や資器材の備蓄に努めるとともに、防災の施設や設備を整備することとするもの。 - 他の地方公共団体等への協力要請の方法(第28条関係)
災害の発生に備え、他の地方公共団体や民間団体等と協力要請の方法を確立しておくこととするもの。 - 避難路の確保及び避難誘導の方法(第29条関係)
区民が避難場所、避難所に安全に避難できるように、都と連携し、避難橋その他の避難路を確保することとするもの。また避難誘導方法を、あらかじめ区民に周知することとするもの。 - 帰宅困難者の事前準備等(第30条関係)
徒歩により容易に帰宅できない者は、災害時の安全な帰宅を自ら確保するため、事前に帰宅経路の確認や家族との連絡手段など必要な準備を行うこととするもの。また特別区その他の地方公共団体と連携し、帰宅困難者の円滑な帰宅を確保する対策を講じることとするもの。
(8) 復興対策(第31条関係)
災害により重大な被害が発生したときは、国、都等と連携し、そして区民と力を合わせて、総力を挙げて復興するとしたこと。そのためには、あらかじめ復興対策を講じるものとするもの。
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