アンチモニー製品についての豆知識
伝統120年金属工芸品の輝き
欧米人の生活に深く浸透
アンチモニー製品の生産地は、日本でただ1箇所「東京」のみであり、葛飾区においても地場産業として多くの企業が集積しています。
アンチモニー産業の始まりは、江戸時代から明治時代への歴史の転換期、日本近代化の黎明期にまでさかのぼります。それまで幕府の彫刻師であった「ご殿彫り」の名匠が、幕府の消滅により失業し、様々な汗と創意工夫の結果、伝統工芸品の大衆化や複製化の技術を開発しました。これに江戸職人のメッキ技術や打ち物技術、それに印刷活字からヒントを得たアンチモニーと鉛の合金が合流して現在に見られるアンチモニー製品が創造され、今に至っています。
明治期には、高村光雲氏もこの業界に深く関与しており、以来日本の伝統工芸品として西洋人に高く評価され、明治・大正・昭和とアンチモニー製品は、我が国の輸出産業として成長し、欧米人の生活に深く浸透してきたのです。
銀に近い比重、記念品・ギフトに人気
アンチモニー製品は、比重が銀に近い合金素材で、どっしりとした重量感あふれる本物の風格を秘めた製品です。デザイン・原型・鋳造・加工メッキ・塗装という工程を経て、職人の手により、1つ1つ丹念に加工され、仕上げられており、独特な光沢と持ち味を発揮します。また、ガラスや陶器、プラスチック、オルゴール、天然石、ライター、時計、照明具等の異素材と組み合わせ、インテリア小物、テーブルウエア、優勝カップ、メタル、神仏具品装飾工芸品等として、多用途に活用されています。
アンチモニー鋳造品は、他の鋳物や樹脂製品に比べ、鋳造が職人の手によってなされるため、金型も安価で小ロットの生産が可能であり、かつ、生産が比較的短期日という特性を持っています。また、アンチモニー製品は、「レトロ感覚」あるいは「手作り感」といった昨今の流行を背景に、伝統的な金属工芸品として記念品や贈り物として高い人気を得ています。
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