葛飾区子どもの権利条例(全文)

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ページ番号1033164  更新日 令和6年3月8日

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目次

前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 子どもの大切な権利(第4条―第8条)
第3章 子どもの権利を保障するための役割及び責務(第9条―第15条)
第4章 子どもが安心して暮らすことができるまちづくりの推進(第16条―第23条)
第5章 相談及び救済(第24条)
第6章 雑則(第25条)
付則
 

前文

 子どもは、一人一人がかけがえのない存在です。生まれながらに権利を持ち、自分の意志を持って成長していくことができます。
 全ての子どもは、命が守られ、差別されることなく、周りの大人からの愛情の下、遊び、学び、安心して生活することができます。そのために、私たち大人は、子どもの意見を聴き、大切に受け止め、一緒に考え、子どもにとって最も良いことを考えていきます。
 私たちは、全ての子どもが心身の状況や置かれている環境等にかかわらず、将来にわたって権利が保障され、笑顔で幸せに豊かな生活を送ることができる平和な社会を実現しなければなりません。
 このような認識の下、葛飾区は、基本的人権の尊重を基本原理の一つとする日本国憲法及び児童の権利に関する条約の理念に基づき、子どもの権利を保障し、健やかな成長を支えることを宣言し、この条例を定めます。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、子どもの権利を大切に守っていくための基本となる事項を定めることにより、子どもの最善の利益が実現される「かつしか」を目指し、葛飾区(以下「区」といいます。)全体で子どもの健やかな成長を支えていくことを目的とします。

(言葉の意味)

第2条 この条例で使う言葉の意味は、それぞれ次のとおりです。
(1)  「子ども」とは、葛飾区内(以下「区内」といいます。)に在住し、在学し、在勤する等、区内において生活し、及び活動する18歳未満の人及びこれらの人と等しく権利を認めることが適当である人のことをいいます。
(2) 「保護者」とは、子どもの親、里親その他親に代わり子どもを養育する人のことをいいます。
(3) 「区民等」とは、区内に在住し、在学し、又は在勤する人並びに区内で活動している団体及び事業者のことをいいます。
(4) 「育ち学ぶ施設」とは、保育所、幼稚園、学校等の子どもが育ち、学び、又は活動するために利用する施設のことをいいます。

(基本理念)

第3条 子どもの権利は、次に掲げる事項を基本理念として、保障されなければなりません。
(1) 子どもの命が守られ、安全及び安心な環境の下、持って生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、医療、教育及び生活の支援を受けること。
(2) 子ども自身が自分の意見を自由に表明することができ、子どもの年齢及び成長の程度に応じて、十分に尊重されること。
(3) 子どもに関することが決められ、行われるときにおいて、子どもの最善の利益が優先され、及び考慮されること。
(4) 子どもが生まれ育った環境、人種、国籍、性別、障害の有無等を理由としたあらゆる差別及び不利益を受けることがないこと。

第2章 子どもの大切な権利

(大切な権利)

第4条 子どもは、日本国憲法及び児童の権利に関する条約(子どもの権利条約ともいいます。)の理念に基づき、生まれたときから権利を持つ人として、その権利が大切に守られます。
2 子どもは、自分の権利が大切にされるのと同じように、自分以外の人の権利を大切にします。

(安心して生きる権利)

第5条 子どもは、安心して生きるため、次に掲げる権利が守られます。
(1) 命が守られ、及び尊重されること。
(2) 愛情を持って理解され、及び育つこと。
(3) 健康に配慮され、及び適正な医療が受けられること。
(4) あらゆる差別を受けないこと。
(5) 身体的又は精神的な暴力、虐待等を受けないこと。
(6) 放置されないこと。

(のびのびと育つ権利)

第6条 子どもは、のびのびと育つため、次に掲げる権利が守られます。
(1) 遊び、学び、及び休むこと。
(2) 文化、芸術、スポーツ等の豊かな経験ができること。
(3) 個人として個性及び特性が理解され、並びに尊重されること。
(4) 子どもであることを理由に不当な扱いを受けないこと。
(5) 自分に関することについて、必要な助言及び支援を受けながら、年齢及び成長の程度に応じて、自分で決めることができること。

(守られる権利)

第7条 子どもは、権利侵害の状態から回復するため、次に掲げる権利が守られます。
(1) 暴力、搾取、有害な労働等から守られること。
(2) 育つことが妨害される状況から守られること。
(3) 気軽に相談でき、必要な支援を受ける機会が守られること。

(参加する権利)

第8条 子どもは、自分に関わることに主体的に参加するため、次に掲げる権利が守られます。
(1) 自分の意見を自由に表明できる機会が設けられること。
(2) 自分の意見が大切に受け止められ、及び尊重されること。
(3) 仲間を作り、集まること。

第3章 子どもの権利を保障するための役割及び責務

(区の役割)

第9条 区は、あらゆる施策を通じて子どもの権利を保障し、子どもが安心して暮らすことができるまちづくりを推進するものとします。
2 区は、子どもの権利の保障について、保護者、区民等及び育ち学ぶ施設と協働し、及び連携し、子どもの活動を支援するものとします。

(保護者の役割)

第10条 保護者は、家庭が子どもの健やかな成長のために大切な場であること並びに子どもの養育及び成長に第一義的な責任を有することを認識し、子どもの権利を保障するよう努めます。
2 保護者は、必要に応じて、区、区民等及び育ち学ぶ施設の協力及び支援を受けながら、子どもが健やかに成長できるよう努めます。

(区民等の役割)

第11条 区民等は、子どもの権利についての理解を深め、子どもの権利を保障するよう努めます。
2 区民等は、地域社会が子どもの健やかな成長に重要な役割を持っていることを認識し、子どもが健やかに育ち、及び安全で安心して過ごすことができるよう、区及び育ち学ぶ施設の必要な支援を受けながら、地域社会全体で子どもを見守り、及び支援するよう努めます。

(育ち学ぶ施設の役割)

第12条 育ち学ぶ施設は、その活動において子どもの権利を保障するよう努めます。
2 育ち学ぶ施設は、育ち学ぶ施設が子どもの健やかな成長に重要な役割を持っていることを認識し、子どもが自分で考え、学び、及び活動することができるよう、区、保護者及び区民等と協働し、及び連携し、子どもの健やかな育ちを支援するよう努めます。

(家庭における権利の保障)

第13条 保護者は、家庭において子どもが健やかに成長するため、次に掲げる事項について、必要な取組を行うよう努めなければなりません。
(1) 差別、暴力、虐待等を受けず、愛情を持って育てられること。
(2) 年齢及び成長の程度に応じて、意見が尊重され、及び最善の利益が考慮されること。
(3) 個人として個性及び特性が尊重され、並びに個人の秘密が守られること。

(育ち学ぶ施設における権利の保障)

第14条 育ち学ぶ施設は、その活動において子どもが健やかに成長するため、次に掲げる事項について、必要な取組を行うよう努めなければなりません。
(1) 年齢及び成長の程度に応じて、遊び、学び、及び育つこと。
(2) 個人として個性及び特性が尊重され、並びに私生活上の秘密が守られること。
(3) 差別、暴力、虐待等を受けないこと。

(地域社会における権利の保障)

第15条 区民等は、地域社会において子どもが健やかに成長するため、次に掲げる事項について、必要な取組を行うよう努めなければなりません。
(1) 地域社会の中で、個人として個性及び特性が尊重され、見守られながら育つこと。
(2) 差別、暴力、虐待等を受けないこと。
(3) 遊び、学び、又は休むために、一人でも集団でも利用できる場所があること。

第4章 子どもが安心して暮らすことができるまちづくりの推進

(子どもに関する施策の推進)

第16条 区は、子ども、保護者、区民等及び育ち学ぶ施設と協働し、及び連携し、子どもの視点を大切にした上で、子どもに関する施策を推進するものとします。

(子どもの育ちの支援)

第17条 区は、子どもの学ぶ意欲及び学ぶ権利を尊重し、保護者、区民等及び育ち学ぶ施設と協力して、子どもの個性及び特性を大切にしながら、その可能性を最大限に伸ばすことができる環境を整備するものとします。
2 区、区民等及び育ち学ぶ施設は、子ども及び保護者がいつでも安心して相談ができる場を作り、及びその支援をするよう努めます。

(子育て家庭の支援)

第18条 区は、保護者が子どもの権利を守りながら安心して子育てができ、その責務を果たせるよう必要な支援をするものとします。
2 区及び育ち学ぶ施設は、特別な支援又は配慮を必要とする子ども及び家庭に対し、安心して暮らすことができるよう必要な支援をするよう努めます。

(子どもが安全で安心して過ごすことができる環境づくり)

第19条 区、保護者、区民等及び育ち学ぶ施設は、子どもがありのままの自分でいられて、安全で安心して過ごすことができる環境づくりに努めます。
2 区は、子どもが安全で安心して過ごすことができる環境づくりのための活動を行う区民等及び育ち学ぶ施設との連携を図り、その活動に対して支援をするものとします。

(虐待、体罰、いじめ等の権利侵害の防止)

第20条 区、保護者、区民等及び育ち学ぶ施設は、虐待、体罰、いじめ等の権利侵害について、決して誰もがしてはならないという認識の下、子どもが安全で安心して過ごすことができるよう努めます。
2 区、保護者、区民等及び育ち学ぶ施設は、日頃から子どもの意見に耳を傾け、及び子どもにやさしく寄り添い、子どもに対する虐待、体罰、いじめ等の権利侵害の防止及び早期発見に努めます。
3 区及び育ち学ぶ施設は、権利侵害を受けた子どもを適切かつ迅速に救済するため、関係機関と連携し、必要な支援を行うよう努めます。

(貧困の防止)

第21条 区は、全ての子どもが健やかに成長できるよう、保護者、区民等及び育ち学ぶ施設と連携し、子どもの貧困の防止に取り組むものとします。

(子どもの意見の表明及び参加する機会の確保)

第22条 区は、子どもを権利の主体として尊重し、子どもが自分の意見を表明したり、社会に参加することができるよう、子どもの背景及び状況に配慮した、子どもの参加の機会を確保するものとします。
2 区、保護者、区民等及び育ち学ぶ施設は、子どもの意見の表明に対し、その意見を大切に受け止め、子どもにとってより良い方法を一緒に考えるよう努めます。
3 区、保護者、区民等及び育ち学ぶ施設は、子どもの意見の表明及び社会への参加を促進するため、子どもがその大切さ及び方法について学び、並びに必要な情報を得ることができるよう努めます。

(広報及び啓発)

第23条 区は、子どもの権利について、子ども、保護者、区民等及び育ち学ぶ施設に理解してもらうよう、広報及び啓発をするものとします。
2 区は、家庭、育ち学ぶ施設、地域社会等で、子どもが権利について学び、自分だけでなく自分以外の人の権利を大切にできるよう、必要な支援をするものとします。

第5章 相談及び救済

(子どもの権利を守るための取組)

第24条 区、保護者、区民等及び育ち学ぶ施設は、子どもの権利が守られていない状態を早期に発見し、互いに協力し、及び連携して、権利が守られていない状態からの回復のための支援に努めます。
2 区は、子どもが権利を侵害され、又は不利益を受けた場合等において、適切かつ迅速に子どもの救済を図ることができるよう、体制の構築その他の必要な取組を行うものとします。

第6章 雑則

(委任)

第25条 この条例の施行に関し必要なことは、葛飾区長が別に定めます。

付 則

この条例は、令和5年10月1日から施行します。

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このページに関するお問い合わせ

子育て政策課子ども・子育て計画係
〒124-8555 葛飾区立石5-13-1 葛飾区役所7階 707番窓口
電話:03-5654-6136 ファクス:03-5698-1533
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